A.リンゴ酸が乳酸菌によって乳酸に変えられます。これを『マロラクテック発酵』と呼びます。乳製品などの乳酸発酵は、乳酸菌が糖を分解して乳酸を生成しますが、ワインの場合は、ワイン中に含まれるリンゴ酸が乳酸菌によって乳酸に変えられます。これを『マロラクテック発酵』と呼びます。
リンゴ酸が乳酸に変化しますと、乳酸はリンゴ酸に比べて弱酸ですから、酸度が低くなります。北方のぶどうは酸が高いことが多いので、酸を減らす目的で『マロラクテック発酵』をさせることがあります。
また、リンゴ酸が乳酸に変化するとき、さまざまな副産物を生成し、香味が複雑になります。とくにダイアセチルという物質が多く生成され、このダイアセチルが適量存在すると、バターリー(バターのような香り)として好ましい香味として評価されます。ただし、度が過ぎますと、ご飯がすえたような不快な臭いと感じられます。
一般的に、『マロラクテック発酵』をさせますと、ワインはフルーティーさを損ないます。『マロラクテック発酵』を行うか否かは、目指すワインのスタイルによって異なります。
都農ワイン『シャルドネ アンフィルタード』では、『マロラクテック発酵』を行っています。アンフィルタードは、まず小樽の中で、アルコール発酵します。アルコール発酵の終盤に、純粋培養した乳酸菌を加え、『マロラクテック発酵』を行います。『マロラクテック発酵』は1,2週間で終了します。その後、樽熟成を続けて3月にリリースします。
『シャルドネ アンフィルタード』は、味の複雑さ、厚みが出るようなスタイルを目指したワインです。