ワイン王国 2009年5月号
第2回目は、都農ワインならではの仕立てと土づくり!
都農ならではの栽培方法
ブドウは一般的に痩せた土地で良く育つと言われます。地が浅く水捌けの良い畑が多い都農町は、ワイン用のブドウ作りに適した土地だと思っていました。そして、ワイン用ブドウ作りに対する、垣根仕立て、密植、肥料制限などの固定概念もありました。
ここ都農は、年間の雨量は3,000㎜を超える年もあり、灰色かび病、うどんこ病、晩腐病、ベト病等の病気に汚染され、また、収穫時期には台風襲来によってブドウや葉がちぎり落とされたりと、ひどいものになると幼樹で枯死することもありました。
土質は火山灰土壌(黒ボク)、土づくりの際に見られる、堆肥を分解する白い菌糸。
都農ならではの土作り
良質なブドウを栽培することよりもまず、健全なブドウを作りたい…。そんな思いの中、地元有機農業研究会と出会いました。彼らの勧めにより、土壌分析をしてみると、ワイン銘醸地に比べ、私たちの畑は極端にミネラル分が少ないことが判明。さらに、健康な植物には病気が入らない、そして、味もいいことを教えてもらい、彼らが取り組んでいた「土作り」を私たちの畑で取り入れることにしました。
土作りに使用する堆肥(鶏糞)10aあたりに2~4t散布し、浅く耕転する。
その方法は、積極的に堆肥を投入し、浅く土と混ぜます。土にいる微生物がその堆肥を分解し、植物の毛細根が張りやすい環境を作ってくれます。その毛細根からミネラルが吸収され、健全な果実が得られるという考え方です。従来の栽培法では、堆肥は窒素分、カリウムが過剰になるとして、積極的には利用しませんでした。また、根の成長は栄養成長に走る(実をつけずに枝ばかり伸びること)とされています。
都農ならではの仕立て方法
地元ブドウ農家さんのアドバイスをいただきながら、仕立て方も毎年の試行錯誤。比較していた棚栽培、一文字短梢剪定。この園が一番良く、すべての園を垣根仕立てから棚仕立てに変えました。結果として健全な樹木が増え、果実の品質も良くなってきました。
これは、農薬散布量の減少にもつながり、なかでもベト病の予防薬であるボルドー液の必要は無くなりました。常識的な考えにとらわれることなく、日々ブドウと向き合いながら、都農らしい栽培方法を模索すること…。これが私たち都農ワインならではのブドウ作りです。
赤尾誠二