ワイン王国 2009年11月号
第5回目は、日本での栽培は難しいと言われる、
ピノ・ノワールについてです。
初めてのピノ・ノワールに挑戦!
フランス、ブルゴーニュ地方での代表的な赤ワイン用品種ピノ・ノワールは、冷涼な地域を好むと言われるブドウ品種です。面白いのは、ミクロ・クリマと呼ばれるほんのわずかな気候や土壌などの違いにより、香味が複雑に変化するという点です。少々気まぐれで手のかかるこの品種とは裏腹に、魅惑的な香りを放つピノ・ノワールは、フランスをはじめ、世界中の作り手を魅了してきました。
収穫前に完熟期を迎えたピノ。8月中旬に収穫。
自社農園でも、3年前からおよそ2,000㎡を使い、
テスト栽培を行っています。
当初、「都農でピノを栽培してみたい!」と投げかけてみたところ、周りからは、「暖かすぎるし、台風来も来るんだから・・・。やめといた方がいいんじゃない?」と、マイナスな意見がほとんどでした。「無謀な挑戦なのかもしれない・・・」それでもやってみたい!という思いが日増しに強まりました。「テスト栽培をして、自分の目で確かめたい!ピノにとって都農は、暖かすぎる土地柄だが、早熟品種という点では台風のリスクは比較的軽減できるのではないか・・・」さらに、このピノ・ノワールは、赤ワイン以外にもシャンパン(ビン内二次発酵)用としても使われるブドウですので、これらも後押しとなりました。
小型のバスケットプレス。
ブドウにストレスを与えないように搾ります。
都農という気候に都農独自の栽培技術でピノの栽培。
これまで培ってきた土づくり、棚仕立て、肥料管理、月の満ち欠けに沿った栽培管理、草性栽培などなどの地元の技術を集約し、ピノ・ノワールの栽培をスタートして、3年目。今年2009年、初めての収穫となりました。
収穫したピノ・ノワール。他にもテンプラニーニョやシラーなど
いろいろな品種の栽培テストをしています。
皮が薄いので、粒割れや病気に弱いという心配もありましたが、果皮の丈夫なしっかりとした果実で、糖度も20度まで上がりました。収穫量は、およそ1樽分(300本/750ml)の量でしたが、近い将来、6樽分(1,800本/750ml)の量を見込んでいます。
「定植して3年~5年は立派な果実を付ける」とブドウ版、ビギナーズラックのような言われ方もされますが、ここ都農から日本のピノ・ノワールを発信していければと思っています。
都農でのワイン用ブドウの可能性を探りたい!
また、他の品種もトライしています。赤ワイン用では、テンプラニーリョ、白ワイン用では、ソービニヨンブラン。来年もいろいろテスト栽培やります!ブドウは、1年に1度しか収穫できませんので、結果がでるのに時間はかかりますが、この数年は、都農でのワイン用ブドウの可能性を探り、ワクワク・ドキドキの挑戦をしていきたいです。そして、都農ワインのお客様が満足していただけるような品種のセレクトをしていきたいと考えています。
赤尾誠二