■地元貢献、そしてコミュニティービジネスとしての発想
都農ワインの理念は、地元都農町の貢献にあると私たちは考えている。都農ワインの都農町への直接的な経済効果として、ぶどう買い上げ、地場産品の売上、都農町のへの寄付が挙げられる。開業以来8年間のこれらの合計は6億6千万円に達した。
このような直接的経済効果の他に、前述したように、都農町が取り組んでいる循環型農業に積極的に協力し、都農町の農産物のイメージアップに一役買っている。また、県内外における都農町からの発信という意味で都農ワインは大きな役割を果たしている。
平成16年7月から『うめワイン』を販売している。都農町の山あいに、轟と立野という地区がある。そこは、以前はみかんの産地であったが、梅の改植がすすみ、梅の産地を形成するに至った。その梅でワインを製造した。試験醸造をしてみると、梅は酸の含有量が高く、醸造酒に向いていることに気付く。試験醸造したワインも好評のことから、今年から本格的に製造販売を開始した。まだまだ、品質改良の余地を残しているが、このうめワインの持つ意味は大きいと考えている。
コミュニティービジネスという言葉がある。コミュニティービジネスには様々な解釈があるようであるが、地域に埋もれている潜在的な人材、資源を生かすビジネスと言えるのではないだろうか。
ぶどう以外で作ったワインを馬鹿にする風潮は確かに存在する。しかし、都農ワインはコミュニティービジネスそのもの実践してきたのだ。作り手である私たちが、誰から命令されるのではなく、梅からワインを作りたいのだ。そう考えると、うめワインを醸造することにためらいは無くなっていた。うめワインでワイン屋の腕を見せてやろうとさえ思うようになった。都農町には様々な資源がある。そう思うと、都農町は宝の山に見えてきた。コミュニティービジネスの発想を大切にしたい。